射法八節とは?

2026年4月27日

射法八節
💡 クイック回答 (TL;DR)

射法八節は、足踏みから残心に至る弓道射法の標準的な8つの段階です。全日本弓道連盟の弓道教本に記されており、日本のすべての弓道場の共通言語となっています。

射法八節は、全日本弓道連盟(ANKF)発行の『弓道教本』で定義されている、弓道射法の標準的な段階分けです。弓を引く準備から弓を下ろす瞬間まで、一連の動作を8つの段階に分け、「足踏み」から始まり「残心」で終わります。

『弓道教本』は、1953年の全弓連設立後に編纂・出版され、現在全4巻があります。この教本は全国の弓道場の共通言語であり、どの流派や先生に学んでいても、「射法八節」という言葉は全く同じものを指します。

「節」という字の本来の意味は竹の節であり、区切りがありつつも連続しています。八節が指すのは状態の切り替わり目です。身体と弓矢がひとつの安定した姿勢から次の安定した姿勢へと移行します。それぞれの節自体は「静止した型」であり、節と節の間の移行が動作となります。

この「型・動・型」の構造は、他の日本の伝統文化にも見られます。茶道には「真・行・草」というお点前の階層があり、能楽では音楽や展開を「序破急」で表現します。剣道、合気道、空手道などにも「残心」という共通の概念があります。こうした文脈において、射法八節は弓道が射の全過程を「型化」した結晶と言えます。

8つの段階

一.足踏み(あしぶみ)

射手が両足を開いて立つ姿勢。つま先を約60度の「ハの字」に開き、両かかとの間隔は矢束(やづか)とほぼ同じにします。的から見て、両つま先を結ぶ線が的の中心を通るようにします。射場に入ってから、射の最初の正式な姿勢となります。

二.胴造り(どうづくり)

足踏みを基礎として上半身を構えます。腰、背、首を一直線にし、両肩を水平にして、重心を丹田に沈めます。完成した胴造りの姿勢は、残りの6つの節を貫く射型全体の軸となります。

三.弓構え(ゆがまえ)

以下の3つの動作の総称です。右手親指を弦にかける「取懸け」、左手で弓を握る「手の内」、頭を的の方向に向ける「物見」。これら3つの動作を完了すると、身体全体が弓矢および的との関係を築いたことになります。

四.打起し(うちおこし)

両手で弓矢を額のやや上まで持ち上げ、弓を垂直に、矢を水平に保ちます。射法八節の中で唯一、明確に「上方向」への動きを伴う段階です。

五.引分け(ひきわけ)

打起しの高い位置から弓を引き下ろします。左手で弓を押し、右手で弦を引き、両手を等速かつ左右対称に分け開きます。途中で「大三」と呼ばれる中継姿勢を経て、「会」へと移行します。大三は日置流の呼称に由来し、現在では弓道界の共通語となっています。

六.会(かい)

引き切った状態で、矢の筈が右耳の横に収まり、弦が口角の延長線上に合う(口割)状態です。左右の腕の張りが均等になります。身体と弓矢の力が飽和し、一体となった状態を指します。

七.離れ(はなれ)

右手親指が弦から外れ、矢が放たれます。文字通り「離れる」という意味ですが、弓道用語としては、自ら「放す」のではなく、会で力が満ちた後に身体が自然に解放される状態を描写しています。

八.残心(ざんしん)

離れの後も両腕を開いたまま保ち、視線を的に残し、姿勢を崩しません。この余韻を残す姿勢を残心と呼びます。剣道、合気道、空手道など他の武道にも共通する概念です。

公式な定義について

この記事は以下の公開資料をもとに作成しています。各流派によって細部に違いはありますが、本稿は全弓連『弓道教本』の主流な定義に基づいています。詳細は以下の情報源をご参照ください。

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